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2026年6月26日
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Sakai Medical Stories Vol.13 早期離床へ繋ぐ集中治療理学療法:重症患者の未来を拓く、志高き理学療法士

市民や医療従事者にとって“ほどよく専門的”で“温度のある情報”を配信する「Sakai Medical Stories」

   

Vol.13 早期離床へ繋ぐ集中治療理学療法:重症患者の未来を拓く、志高き理学療法士

リハビリテーション技術科 内海 風花

ICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)という、一刻を争う緊迫した医療の最前線。
そこには、高度な医療機器や専門知識と同じくらい、患者さんやそのご家族を心の底から安心させる重要な武器があります。
それが、周囲の強張った心をそっと和らげる「親しみやすさ」と、目の前の患者さんの小さなサインも見逃さず一途に寄り添い続ける熱意です。
今回は、2023年に新設された専門資格「集中治療理学療法士」を昨年取得し、当院のリハビリテーション技術科を牽引するホープとして日々命と向き合う 理学療法士 内海 風花(うつみ ふうか)さんにインタビュー。
1日わずか数十分のリハビリに留まらず、多職種と協同して「残りの23時間以上」の生活から患者さんの早期回復を支えるチーム医療への貢献、これまでの歩みの中で実感した自身の成長、自然体なオフの日の素顔、そして理想の理学療法士像とこれからの展望について、熱い想いをお伺いしました。

集中治療理学療法の最前線、現場で踏み出した第一歩

Q1.一般的な理学療法の枠を超え、まだ歴史の浅い「集中治療理学療法士」の資格を志したきっかけや想いを教えてください。

私は数年前から集中治療領域(ICUやHCU)で勤務しています。
そこでは重症の患者さんが多く、一刻を争うシビアな環境です。
しかし、正しい知識と適切なリスク管理があれば、早い段階から離床(ベッドから起き上がること)を進めたり、寝たきりによる二次障害を予防したりするリハビリテーションが可能です。
この新資格のために勉強を重ね、専門的な知識を深めることが患者さんの回復の一助になると考え、取得を目指しました。当院では3人目の取得者となります。
    

Q2.人工呼吸器などを装着した重症患者さんのリハビリには、特有の緊張感や壁があるかと思いますが、どのように乗り越えられましたか?

最初は、COVID-19の治療などで知られる「ECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)」などの生命維持装置がついている患者さんを動かせるのだろうかと戸惑いました。
見たこともない医療機器に囲まれて不安もありましたが、医師、看護師、臨床工学技士、リハビリスタッフなどの多職種チームで協力し、相談し合いながら経験を重ねることで乗り越えてきました。
          

Q3.安全かつ効果的なリハビリを実践するために、ベッドサイドで「最も研ぎ澄ましている視点」は何ですか?

まず「どのようにコミュニケーションを取るか」を一番に考えます。
人工呼吸器をつけていても意識がはっきりしている方は多く、筆談ができる方もいれば、こちらの問いかけに「うん」と頷くだけで意思を伝えてくれる方もいます。
患者さんの表情や、バイタルサインなどに現れる小さな変化をキャッチできるよう、常に患者さんのことを注視しています。
   

チーム医療の要:多職種連携と現場での協同

Q4.専門知識を日々の業務に落とし込み、リハビリテーション技術科を牽引する立場として大切にしている姿勢はありますか?

私自身、まだまだ経験年数としては中堅の入り口ですので、「常に学ぶ姿勢」を大切にしています。
自分で自己研鑽することはもちろん、医師や看護師、他の職種の方々から教えていただくことも多く、周囲へのリスペクトと学ぶ姿勢は常に忘れないようにしています。   
    

Q5.患者さんの「早期回復」というゴールに向け、他職種とのコミュニケーションで工夫していることはありますか?

私たちが関わるリハビリの時間は、1日のうちのわずか20〜40分程度です。大切なのは、それ以外の「残りの23時間以上をどう過ごすか」です。
そのため、看護師に「日常のなかでどんな動きをしてほしいか」「どのような姿勢(ポジショニング)が良いか」を提案したり、医師とカンファレンスで「どこまでのリスクを許容して動かしていいか」を相談したりしています。
リハビリの時間だけでなく、24時間の中でどう介入していくかを多職種で共有し、お互いに顔と名前を覚えて意見を言い合える環境づくりを心がけています。   
    

理想の理学療法士像:紡いできた信頼関係

Q6.意思疎通が難しい重症患者さんやご家族と、深い信頼関係を築くために心がけていることはありますか?

お話しできる患者さんやご家族からは、普段の生活、趣味、今一番困っていること、そして「一番したいこと」を詳しく聞くようにしています。
そのやり取りの中からリハビリのゴールが見えてきます。
「患者さんのことを一番知っているのは自分だ」と言えるくらい深く関わり、お話しすることを大切にしています。
       

Q7. これまでの業務の中で、最も「この仕事をしていて良かった」と感じたエピソードを教えてください。

ICUの重症リハビリでは、何か一つでもできることが増えると、患者さんや周囲の看護師がすごく嬉しい顔をしてくれます。
また、ICUから一般病棟へ移られた後、直接お会いすることはできなくても、「あの患者さん、歩いて家に帰られたよ」「直接自宅へ退院できたよ」というお話を聞けたときは、この領域で頑張ってきて本当に良かったと心から思います。
    

Q8. これから集中治療領域をめざす後輩たちへ、どのようなバトンを繋いでいきたいですか?

先輩方を見ていて強く感じた「学び続ける姿勢」を後輩たちにも繋いでいきたいです。
当院のリハビリテーション技術科には3年間の手厚い教育期間があり、4年目からは教える側に回るという、お互いに刺激し合って成長できる素晴らしい環境があります。
この環境を大切にしながら、共に高め合っていきたいですね。

   

内海さんの価値観と未来

Q9. 集中治療という過酷な現場のなかで、ブレずに貫いている「軸」は何ですか?

理学療法士の仕事の本質は「基本動作能力(寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩く)を改善させること」です。
どんなに重症な患者さんであっても、その基本動作の改善を一番の目的に据えるという軸は、決して忘れずに意識しています。
   

Q10. 地域医療への貢献も見据え、今後挑戦していきたい今後の展望を教えてください。

急性期病院としての理想は、集中治療を必要とした患者さんが、他院を経由せず直接「自宅退院」できるようになることです。
ICUにいる超早期の段階から徹底してリハビリと二次障害予防を行い、住み慣れた家へ直接帰ることができるケースを一つでも増やせるよう、これからも精進していきます。
      

   

Beyond the White Coat

― 白衣の向こう側 ―

ここからは、医療や仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくるスタッフの人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。
   

趣味・ハマっていることを教えてください。

読書:オーディブル(聴く読書)を取り入れて移動中も色々な本を聴いています。

登山:理学療法士はアクティブな人が多く、友達の誘いで5年ほど前から始めました。鳥取県の大山(だいせん)に登って頂上で泊まり、綺麗な蛍や景色を見たのが思い出です。

    

飲み歩き: お酒が大好きで、週末はよく飲みに行きます。一杯目はやっぱりビールですね!

おすすめの飲食店を教えてください。

少しおしゃれに立ち飲みしたい時は、北浜にある「MAKE ONE TWO (メイクワンツー)」がおすすめです。
とにかく安く楽しく飲む時は、天王寺などの立ち飲み居酒屋「さかとけ」によく出没します(笑)。


オフの日の過ごし方は?

友達と飲みに行ったり、「阪神タイガース」の応援(甲子園での野球観戦)に行ったりしてリフレッシュしています。    

毎日のルーティンを教えてください。

毎朝必ず「納豆卵かけご飯」を食べて、日々の仕事に向かう体力を蓄えています!
   

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