Sakai Medical Stories Vol.3 救急と再建のスペシャリストが挑む、一気通貫の「救い」のカタチ

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Vol.3 救急と再建のスペシャリストが挑む、一気通貫の「救い」のカタチ
― 命を救う、その先へ。機能回復と人生を支える外傷医療 ―

2026年1月、当院に「運動器外傷再建センター」が誕生しました。
重症外傷医療を一貫して提供し、救命・機能回復・社会復帰まで見据えた新たな体制について、川本 匡規 センター長にお伺いしました。
Q1.運動器外傷再建センターとは、どのような部門ですか?
重症外傷に対して、救命から機能回復・社会復帰までを一貫して担います。
これまで整形外科・救急科・形成外科がそれぞれ対応していた外傷治療を一元化し、効率的で質の高い医療を提供する体制を整えました。
Q2.なぜ今、運動器外傷再建センターを立ち上げたのですか?
患者さんが「どの窓口から来たか」によって、治療体制が分断されるという課題がありました。
救急外来から来た外傷は救急科主体、転院依頼は整形外科主体といった具合に、同じ外傷でも流れが統一されていませんでした。
このセンター化により、入り口に関わらず同じ質の医療を提供するシステムを構築しました。
Q3.運動器外傷再建センターにはどのような役割がありますか?
大きく3つあります。
1つ目は、外傷治療の一元化と効率化。
2つ目は、医師・看護師・リハビリスタッフへの体系的な教育。
3つ目は、症例数を増やし、その成果を患者さんへ還元することです。
スタッフが入れ替わる4〜5月でも医療の質を落とさない体制づくりも重要な役割です。
Q4.どのような患者さんを主に診療していますか?
主に二つの分野に取り組んでいます。
一つは若年・中年層で多い重症外傷(三次救急)で、開放骨折や骨盤骨折などを中心に高度な治療を行います。
もう一つは、高齢者外傷で、透析中や全身状態が芳しくない方など、他院では対応が難しい症例も受け入れています。
Q5.運動器外傷再建センターの強みは何ですか?
最大の強みは、救命救急センター併設による全身管理能力です。
三次救急で培ったノウハウを、高齢者救急にも応用できます。
高度な再建医療まで対応できる体制は全国でも数少ないと思います。
皮膚・軟部組織の欠損を伴う開放骨折に対し、精密な再建手術を実施できることはもちろん、複雑な感染例なども切断を避けて治療する体制を整えています。
Q6.「再建医療」とは、具体的にどのような治療ですか?
骨だけでなく、皮膚や筋肉など軟部組織も含めて元の形・機能に近づける治療です。
当院では、整形外科と形成外科の両方が遊離皮弁手術に対応しています。
感染などで他院では治療困難となった症例も、技術を用いて切断を回避し、足を残す温存治療を行っています。
Q7.骨盤骨折・寛骨臼骨折の治療実績も多いと聞きました。
これらは対応できる施設が限られており、大阪府内でも数少ない分野です。
大阪大学関連病院をはじめ、ドクターヘリでの搬送を含め、全国レベルで重症症例が集まるハイボリュームセンターとして機能しています。
Q8.治療はどのような流れで進みますか?
まず救命救急科が生命の危機を管理し、同時に整形外科が初期から関与して機能予後を見据えた治療計画を立てます。
毎朝のカンファレンスで方針を決定し、当日緊急手術を行うことも少なくありません。
Q9.退院後のフォロー体制について教えてください。
急性期治療(約1か月)後、回復期リハビリ病院で2〜3か月治療を行い、その後は当院外来で経過を確認しながら、地域の医療機関と連携します。
若い方には原職復帰、高齢者には再び歩くことを目標に長期的に支えます。
Q10.運動器外傷再建センターを運営する中で大切にしている考え方は?
「生きるかどうかは救急医が決めるが、どう生活するかは整形外科医が決める」という考えです。
患者さん中心の医療を大前提にしつつ、スタッフのワークライフバランスも大切にしています。
Q11.最後に、患者さんや地域の先生方へメッセージをお願いします。

重症外傷は誰にとっても突然のできごとです。
私たちは「救命」だけでなく、人生の質を取り戻すための「機能回復」まで見据えた医療を提供します。
重症外傷では、社会復帰や日常生活への復帰が大きな目標になります。
治療方針を共有し、「元の生活に戻ること」をチーム全体で支えていきたいと考えています。
遠慮なく相談いただければと思います。
地域の皆さま、救急隊、医療機関の皆さまと連携しながら、「安心して任せられる外傷センター」をめざして邁進してまいります。
Beyond the White Coat
― 白衣の向こう側 ―
ここからは、仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくる医師の人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。

*休日の過ごし方
小学校6年生と4年生の子どもたちと過ごす時間が中心です。
*リフレッシュ方法
食べることが大好きで、お気に入りの店は裏天王寺の寿司店「Sushi処 まんま & HANARE」です。
コスパが良く日本酒の品揃えも豊富です。
*もし医師でなかったら・・・
学校の先生になり、部活動の指導をしていたと思います。
中学生~大学生時代までバドミントンに打ち込んできました。