2025年12月3日
お知らせ
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」における重大な不適合事案について
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針における「重大な不適合」とは
当該研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が損なわれるほどに著しくこの指針から逸脱しているもの。
下記に例示するような場合は、研究の内容にかかわらず、不適合の程度が重大であると考えられる。
・倫理審査委員会の審査又は研究機関の長の許可を受けずに研究を実施した場合
・必要なインフォームド・コンセントの手続きを行わずに研究を実施した場合
・研究内容の信頼性を損なう研究結果のねつ造や改ざんが発覚した場合
・指針第6章第11の1(3)の「研究に関する情報の漏えい等」の報告を受けた場合
(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」ガイダンスより)
研究機関の長は、当該研究機関が実施している又は過去に実施した研究について、この指針に適合していないことを知った場合には、速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況・結果を厚生労働大臣(文部科学省の所管する研究機関にあっては文部科学大臣及び厚生労働大臣。経済産業省の所管する研究機関にあっては厚生労働大臣及び経済産業大臣。)に報告し、公表しなければならない。
(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」第6章第11の3(1)より抜粋)
当院で発生した「重大な不適合」
当院で発生した「重大な不適合」について、以下の通り公表します。
| 研究課題名 | 造血細胞移植および細胞治療の全国調査 |
|---|---|
| 概要 | 当院は、一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会が国内の造血細胞移植および細胞治療等について実施する「造血細胞移植および細胞治療の全国調査」(以下、本観察研究)に参加している。その対象は、国内の造血細胞移植および細胞治療等のドナー・患者で、その情報を収集し集計・解析することにより国内における治療件数と治療成績を把握することを目的としている。 このたび、2021年7月から2024年11月までの間、当院における研究対象者25人に対し、文書による同意の確認が実施されていないことが判明した。 |
| 対応状況等 | 事案判明後、直ちに、研究事務局(一般社団法人日本造血細胞移植データセンター)に連絡した。 また、研究事務局より事案の報告を行った愛知医科大学の倫理審査委員会の判断を受け、当院の現在の研究責任者や研究分担者が遡って全例の同意を取得するとともに、重大な不適合事案として2025年11月28日付けで厚生労働大臣へ報告した。 |
| 再発防止策 | 現在は、以前よりルール化されていた、臨床研究推進室での同意書の一括管理を徹底して行っており、カンファレンスなどでの周知と確認を徹底している。また、移植治療の際に、治療や処置などの他の同意書とともに本観察研究の同意書も取得する対応としている。 さらに、本件の情報共有を行うとともに、e-learningなどを活用し、研究者らへの臨床研究に対する教育を徹底している。 そのほか、毎月の臨床研究倫理委員会からの院内メールおよび電子カルテの掲示板上でも、同意書の取得や提出を含めた臨床研究のおける規定の遵守を呼び掛けている。 |