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2026年10月16日
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Sakai Medical Stories Vol.21 心不全とともに生きる日々に活力を――病棟から広げる、フレイル予防と心臓リハビリの専門看護

市民や医療従事者にとって“ほどよく専門的”で“温度のある情報”を配信する「Sakai Medical Stories」

   

Vol.21 心不全とともに生きる日々に活力を――病棟から広げる、フレイル予防と心臓リハビリの専門看護

慢性心不全看護認定看護師
木本 直子

心臓の機能が低下し、全身へ血液を十分に送り出せなくなる「心不全」。
一度発症すると完治が難しく、再入院を繰り返しやすい特徴を持っています。
超高齢社会を迎えた現在、患者数の急増が課題となる中、当院では、急性期からの手厚いケアと病棟内での「フレイル予防・心臓リハビリテーション」に注力しています。 
今回は、当院唯一の慢性心不全看護認定看護師として、多職種チームの牽引や心不全ケアの仕組みづくりに尽力されている木本直子さんにお話を伺いました。
専門看護にかける熱い想いから、バイタリティあふれるプライベートな素顔まで、たっぷりとお届けします!
     

Q1.木本さんのこれまでのご経歴と、当院に着任されたきっかけを教えてください。

九州の生まれ育ちで、元々は福岡県・鹿児島県の国立病院機構の循環器病棟などで長く勤務していました。
2012年、30歳の時に当時の職場から勧められ、できたばかりの「慢性心不全看護認定看護師」の資格を取得しました。
その後、結婚・出産を機に大阪へ転居することになり、ハローワークの方から「新しく心臓血管外科ができる良い病院があるよ!」と強く勧められたのが、2015年に当院へ入職したきっかけです。
院内保育所があったことも子育て中の身としては非常にありがたかったですね。
    

Q2.心不全看護を専門に学ぼうと決意された理由は何だったのでしょうか?

循環器の患者さんは、心筋梗塞などで緊急搬送されて来られても、治療を受けて歩いて元気に帰られていく姿が多く、そこに大きなやりがいを感じていました。
しかしその一方で、自己管理が上手くいかず、心不全を悪化させて再入院を繰り返してしまう方が非常に多かったのです。
「せっかく元気になったのに、繰り返し悪くなってしまう患者さんを救う手立てはないか」と深く学びたくなり、認定看護師の道を志しました。
          

Q3.心不全の増悪や再入院を防ぐため、日々の看護で最も大切にされている「こだわり」は何ですか?

一番大切にしているのは「その人の人となり(生活背景)」を知ることです。
どのような場所でどう過ごしてきたのか、その生活史の延長線上に今の病気があります。
心不全の管理項目は多岐にわたりますが、全員に同じ指導を押し付けても継続できません。
検査への移動時や清拭時のちょっとした会話からその方のライフスタイルを汲み取り、「その人に合ったベストな管理方法」を多職種と一緒に見つけ出すことを意識しています。
   

Q4.そもそも「心不全」とはどのような病気なのでしょうか?

心臓のポンプ機能が低下して全身に十分な血液を送れなくなる状態です。
息切れや浮腫(むくみ)、全身の倦怠感などが出現し、動くことや食事をすることが難しい場合もあります。
がんではありませんが、5年生存率で見ると前立腺がんと同等と言われるほど予後が厳しい側面もあります。
しかし、元気になって退院されると「治った!」と錯覚してしまう患者さんが多いため、正しく病気を理解していただくアプローチが欠かせません。
      

Q5.病棟で取り組まれている「フレイル予防」について教えてください。

心不全の患者さんは心機能低下により全身の筋力が落ちやすく、高齢になるほど「フレイル(病弱・虚弱)」が進行しやすい傾向にあります。
当院にはリハビリ室での本格的な心臓リハビリがありますが、実は高齢患者さんの約7割はそこまで到達できないのが現状でした。
そこで「病棟廊下で早期からできるリハビリを作ろう!」と立ち上げ、医師や理学療法士と協力して、心電図モニターで安全を確認しながらスクワットや踵上げ、歩行練習などの集団リハビリを実施しています。
    

Q6. 病棟内での集団リハビリは、患者さんにどのような変化をもたらしていますか?

1人で黙々と行うよりも、「あの人が頑張っているから私も」とお互いに励まし合える効果が大きいですね。
また、超重症で自立歩行が難しかった50代の患者さんが、多職種でのカンファレンスや高度治療を経て元気に回復されたり、退院後に5ヶ月間の外来通院リハビリに通って自己管理をしっかり継続できたりと、目に見えて元気になる姿をたくさん見てきました。
患者さんやご家族からの感謝の言葉は本当に励みになります。
       

Q7.連携での成果や、病棟スタッフの育成で工夫されていることはありますか?

当院には医師、看護師、理学療法士、クラーク、管理栄養士、薬剤師、MSWなど多職種が揃っていて、週1回カンファレンスをしています。
例えば食欲が落ちている方には、減塩にこだわりすぎず「まずは食べられること」を優先して管理栄養士と相談することや、働く世代の方には活動量を理学療法士と評価する、服薬忘れの多い方には薬剤師と共有するなど、柔軟に連携しています。
また、こうした多職種での取り組みは、再入院予防に繋がっています。
当院の心不全患者の1年以内の再入院は、2016年34%から2025年15%まで低下しました。
全国平均の27%と比較しても低い水準で維持しています。
これは、これらの心不全チームが連携し退院後の生活まで見据えて支援した結果だと考えています。
さらに、認定看護師だけでなく病棟全体で質の高い看護を提供できるよう「心不全療養指導士」という資格の取得を推進しており、毎年スタッフのサポートを行っています。
        

Q8.退院後も患者さんやご家族が前向きにセルフケアを続けるためのコミュニケーションのコツは?

とにかく「褒める」ことです!
できていることをまずしっかりと見つけて承認し、「よくできています、その調子です」とお伝えした上で継続を促します。
長年培ってきた生活習慣をガラリと変えるのは不可能ですから、「今の好きな生活を続けていいですよ。
ただ、こういう症状が出た時だけ少し控えましょうね」と、無理のない範囲で一歩ずつ取り組んでもらうようにしています。
      

Q9.地域や外に向けて心不全・フレイル予防を発信していくことの意義は何でしょうか?

心不全ケアは病院の中だけで完結するものではありません。
地域のクリニックの先生、訪問看護師さん、ケアマネジャーさんなど、地域全体で支える必要があります。
当院では「大阪心不全地域医療連携の会(OSHEF)※」監修の「ハートノート」を活用して日々の血圧や体重を記録し、訪問看護師さんや地域の医療従事者にも共有してもらう取り組みを行っています。地域全体で早期発見・早期介入ができるネットワークを作ることが非常に重要だと考えています。
      

        

Q10. 木本さんが仕事や看護の実践において、最も大切にしている「軸(価値観)」は何ですか?

「その人にとっての最善は何か」を考えることです。
医療者側の都合やマニュアルを押し付けるのではなく、患者さん自身が「どう生きたいか、どうしたいか」を代弁し、支えられる看護師でありたいと思っています。
そして、どんなに忙しくても看護を「楽しく」行う姿勢を忘れないようにしています。
     

Q11. 今後の目標や、これから挑戦したい展望についてお聞かせください。

和泉市で行われているような「特定健診でのBNP(心不全マーカー)検査による早期発見」のような取り組みを、ぜひ堺市全体でも広げていきたいという大きな夢があります。
心不全になる前の段階からリスクのある方をキャッチし、予防につなげたいですね。
また、当院では心不全看護外来を医師の診察前に実施しています。早期に増悪しないように継続支援しています。
アフターフォロー体制をさらに強化し、地域と途切れない支援ネットワークを深めていきたいです。
     

Beyond the White Coat

― 白衣の向こう側 ―

ここからは、医療や仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくるスタッフの人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。
   

木本さんの元気の源(勝負飯)を教えてください!

夫の趣味をきっかけに、6年ほど前より鶏を飼っています。
その朝採れ新鮮卵を使った「卵かけご飯」が最高の勝負飯です!
お醤油は「ヒガシマル醤油 龍野乃刻(たつののとき)」がお気に入りで、絶品です。
毎朝、新鮮な卵を生んでくれるニワトリたちからパワーをもらっています。
おすすめのご飯処は「中国料理 花梨」(北区百舌鳥梅町)です。炒飯とジャガイモの豚肉炒めが絶品です。
       

中国料理 花梨
ジャガイモの豚肉炒め・炒飯

タフな心身を保つリフレッシュ方法や趣味は何ですか?

趣味は「短いランニング」と「登山」です! 
中学・高校時代に陸上部でしたが、今年1月のマラソン大会(40代女性・5kmの部)でなんと1位を獲得し、金メダルをもらいました!
家族、友人、職場の方と金剛山へ行くことや、院内レクリエーションのバスケットボールも月1~2回参加し汗を流すことが良いリフレッシュになっています。    

40代女性・5kmの部 第一位

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