Sakai Medical Stories Vol.20 がんと言われたその時から、安心して相談できる場所を―― 「がん相談支援センター」で患者さんの心と生活に寄り添う

市民や医療従事者にとって“ほどよく専門的”で“温度のある情報”を配信する「Sakai Medical Stories」
Vol.20 がんと言われたその時から、安心して相談できる場所を―― 「がん相談支援センター」で患者さんの心と生活に寄り添う
看護支援室(がん相談支援センター・乳がん看護認定看護師) 濵口 佳子 副師長

「がん」と告げられた瞬間、患者さんやご家族は想像を超える不安や戸惑いに包まれます。
治療法の選択から副作用への恐怖、仕事やご家族の介護、経済的な懸念に至るまで、抱えるお悩みは一人ひとり大きく異なります。
堺市立総合医療センターの「がん相談支援センター」は、当院に通院中の方だけでなく、ご家族や地域にお住まいの方々ならどなたでもご利用いただける大切な「駆け込み寺」です。
今回は、今年4月からがん相談支援センターに着任した看護支援室 副師長の濵口佳子さんに、最前線での相談支援の実情や認定看護師としての専門性、そして日常を支えるプライベートまでお話を伺いました。
Q1.濵口さんが担当されている「がん相談支援センター(がん相談窓口)」とは、具体的にどのような場所なのでしょうか?
がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院※などに設置されている相談窓口です。
当院に通院中の患者さんやご家族はもちろん、他の病院に通院されている方や地域住民の方など、どなたでもご利用いただけます。
ご相談内容は、治療や副作用のことだけでなく、生活や利用できる医療制度のこと、緩和ケアについてなど、がんにまつわる幅広い分野に及びます。
対面はもちろん、お電話やオンラインでのご相談も可能で、当院1階12番の「患者支援センター」内にある個室などでじっくりとお話をお聞きしています。
※全国どこでも「質の高いがん医療」を受けられる社会をめざして、都道府県による推薦をもとに厚生労働大臣が指定した病院
Q2.どのようなスタッフが相談に対応されているのですか?
国立がん研究センター等が開催する国指定の研修を修了した「がん専門相談員」が対応しています。
当院では研修を修了した看護師が5名、医療ソーシャルワーカー(MSW)が3名在籍しており、それぞれの専門性を活かしながらチームで協力してご相談をお受けしています。
Q3.実際には毎日どのくらいのご相談があり、どのように対応されているのでしょうか?
日によって異なりますが、1日に平均4〜6名ほどのご相談をお受けしています。
1件あたり20分程度、じっくりお話しされるケースが多いです。
事前にご予約いただく場合もありますが、実は「今すぐ話を聞いてほしい」といった飛び込みでのご相談も非常に多くあります。
事前にお電話をいただきカルテ等で背景を確認して臨むこともあれば、窓口に来られた患者さん・ご家族と直接お会いして、その場で背景を丁寧に聞き取りながら対応することもあります。
なお、「匿名」でのご相談も可能です。
Q4.どなたでも利用できる窓口とのことですが、当院に通院していない一般市民の方や検診段階の方も相談してよいのでしょうか?

もちろんです!
「がん検診で再検査になって不安」「がんと診断されたがどうすればいいか分からない」といった段階のご相談でも全く問題ありません。
がんにまつわることであればどのような疑問や困りごとでもお受けしています。
ただ、まだがん相談支援センターの存在が地域に十分に周知しきれていない現状も実感しています。
ホームページでの広報やリーフレットの配布、がん告知時に手渡す情報冊子への挟み込みなど、一人でも多くの方に届くよう周知活動に力を入れています。
Q5.日々の相談業務の中で、濵口さんが特に「大切にされていること」は何ですか?
最も意識しているのは「信頼性のある、根拠に基づいた適切な情報をお伝えすること」です。
分からないことや複雑な行政手続き等があればその都度しっかりと調べ、各種ガイドラインや確かな根拠に照らし合わせてご回答するよう徹底しています。
また、個人の病状に対する具体的な治療法の判断は主治医の診察領域となりますので、がん相談支援センターでは「主治医とよりスムーズに意思疎通を図るための質問の仕方」を一緒に整理するなど、患者さんご自身が納得して診察に臨めるようなアドバイスやサポートを心がけています。
Q6. 濵口さんは「乳がん看護認定看護師」の資格もお持ちですが、その専門性は相談窓口でどのように生かされていますか?
がん相談支援センターの業務と並行して、乳がん看護認定看護師※として外来での告知時・診断時の心理的サポートや意思決定支援、副作用相談などの活動も続けています。
これまで多くの乳がんの患者さんやご家族の心に寄り添ってきた経験は、がん相談支援センターで寄せられる多種多様で幅の広いお悩みを受け止める際にも、大きな糧になっていると感じています。
※乳がん領域に特化した高い専門知識と熟練した看護技術を持ち、日本看護協会から認定を受けた看護師のこと
Q7.院内の医師や他職種、あるいは地域の医療・介護関係者との連携において工夫されていることはありますか?
患者さんの病状や生活背景を正確に把握し、関係者にわかりやすく共有することを徹底しています。
また、地域のケアマネジャーや訪問看護師、他院のスタッフは地域での患者さんの暮らしをとてもよく知っておられます。
こちらから一方的に伝えるのではなく、地域の医療従事者の方々の意見や知見をしっかりとお聞きし、尊重しながら連携することを大切にしています。
また、多職種や主治医に連絡する際は、限られた時間の中でも要点が的確に伝わるよう、事前に伝えたいポイントを自分の中で整理してから相談・依頼を行うよう工夫しています。
Q8.これまで関わられた中で、特に「がん相談支援センターがあって本当によかった」と感じた印象的なエピソードを教えてください。
がんの手術が必要となった高齢の女性患者さんの事例です。
その方は要介護状態の夫と二人暮らしで、普段は患者さんご自身が夫の介護を担っておられました。
ご家族も近くにおられず、ご本人は「自分が入院してしまうと夫の介護をする人がいなくなる」と大変心配され、必要な手術を受けるべきか深く悩んでおられました。
そこで医師からの相談を受けて介入し、患者さんの承諾を得た上で夫のケアマネジャーさんに即座に連絡。
手術日程に合わせて夫のショートステイやレスパイト入院※の調整を進めました。
無事に夫の預かり先が確保できたことで、患者さんも安心して入院・手術に臨むことができました。
近年の核家族化や高齢夫婦世帯の増加に伴い、こうした「ご家族の介護問題で治療を躊躇してしまう」ケースは増えています。
生活基盤を整えるお手伝いをすることで、患者さんが安心して治療へ一歩踏み出せた時は、窓口の大きな意義を実感しました。
※在宅での介護を担う家族が日々の介護に疲れを感じ、介護力の限界を超え介護不能となることなどを予防するための入院
Q9.患者さんやご家族から主治医との関係性についてご相談を受けた場合、どのようにアプローチされていますか?
「主治医の説明で分からないことがあるけれど、忙しそうで聞きづらい」といったご相談もよくいただきます。
そうした場合、まずは患者さんのお話をじっくりとお聞きし、お気持ちを傾聴して受け止めます。
その上で「何を一番知りたいのか」「不安に思っていることは何か」を一緒に整理し、次の診察時に主治医へ質問しやすいようメモを作成するようにお伝えしたり、必要に応じて診察に同席してサポートしたりすることもあります。
お気持ちを吐露し、考えを整理していただくだけで安堵される方も多くいらっしゃいます。
Q10. 今後の「がん相談支援センター」の展望や、めざしていきたい姿についてお聞かせください。

まずは「困った時はいつでも気軽に相談できる場所」として、さらに多くの方々に知っていただけるよう院内外への広報活動を強化していきます。
また、院内の医療従事者に対してもがん相談支援センターの認知度を高め、早い段階からスムーズに患者さんを窓口につないでいただける体制を整えたいと考えています。
私自身もがん専門相談員としての知見をさらに深めつつ、他の相談員と切磋琢磨しながら、患者さんやご家族が地域で安心して自分らしく過ごせる支援体制を発展させていきたいです。
Beyond the White Coat
― 白衣の向こう側 ―
ここからは、医療や仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくるスタッフの人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。
お仕事から離れたオフの日は、どのように過ごされていますか?

実は、趣味は「プロ野球観戦」なんです!
阪神タイガースのファンで、普段から試合の放送は欠かさずチェックしています。
チケットを取るのが大変ですが、今シーズンも5回ほど甲子園球場へ足を運びました。
今年は初めて「グラウンドウォーク」付きのチケットを購入でき、ナイター試合終了後の夜10時半頃に甲子園のグラウンドに入って記念撮影を楽しみました!
普段見ているスタンドとは全く違う景色にとても感動しました。
家族と一緒に声援を送ることが、最高のリフレッシュや日常の活力になっています。

阪神甲子園球場 グラウンドウォーク
おすすめの旅先や、リフレッシュできるお気に入りの場所はありますか?

旅行に行くのが好きで、国内でおすすめしたいのは「冬の石垣島」です。
冬は海には入れませんが、その分観光客も多すぎず、台風の心配もなくゆったりとした時間が流れています。
1月頃でも長袖Tシャツや軽い羽織もので快適に過ごせますし、澄んだ綺麗な海を眺めているだけでとても癒やされます。
また、海外では「台湾」が大好きで何度も訪れています。
美味しいごはんやマッサージも魅力ですし、温かい人柄に触れられる大好きな場所です。

おすすめしたいお気に入りのお店を教えてください!

鶴橋にあるコリアタウン近くの隠れ家カフェ「cafe JJ(ジェイジェイ)」さんです!
鶴橋の韓国料理店「伝説の焼き焼き団」というおすすめのサムギョプサルのお店でランチを食べた後、少しメイン通りから離れて散策していた時に見つけたお店なのですが、こちらの「ブルーベリーチーズケーキ」が本当に絶品でおすすめです。
鶴橋へ行かれた際は、サムギョプサルからのカフェめぐりというコースを是非試してみてください!

伝説の焼き焼き団(大阪市生野区鶴橋)
関連リンク