Sakai Medical Stories Vol.14 技術の先にある安心を―放射線技術科主査としての挑戦と人生を「楽しむ」心得

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Vol.14 技術の先にある安心を―放射線技術科主査としての挑戦と人生を「楽しむ」心得
放射線技術科 林 祐樹 主査

林さんは主査として、急進化する医療機器のマニュアル整備や、医師・看護師の負担を軽減する「タスクシフト」を牽引し、チームの力を最大化させる確かな成果を上げてきました。
さらに院外では、難病の子どもたちの夢を叶えるボランティア活動に深く関わり、先日はその真摯な姿勢からテレビ番組への出演を果たすなど、多方面で活躍されています。
最先端の医療を支えるプロフェッショナルでありながら、その根底にあるのは「他者への温かい想い」と、どんな環境も全力で「楽しむ」ポジティブな心得でした。
ユーモア溢れる語り口で明かされる、主査としての挑戦と人生の美学に迫ります。
Q1.高度急性期医療を担う当院において、日々の業務の中で林さんが「最も大切にされていること」は何ですか?
患者さんとの接し方をとても大切にしています。
医師や看護師と違って、私たち診療放射線技師が業務上で患者さんと関わる時間は決して長くありません。
だからこそ、常に患者さんの立場に立って「自分がもし患者さんなら、今どうしてほしいか」を頭に置いて接することを心掛けています。
Q2.短い関わりだからこそ、技師として求められるコミュニケーションのスキルとは何でしょうか?
検査の中には、患者さんの協力が必要な検査も数多くあります。
例えば、撮影の瞬間に息を止めていただいたり、姿勢を維持していただいたり。
そうした短い時間の中で、いかに上手くコミュニケーションをとって安心感を与え、前向きな協力を得るか。
これも技師としての大きなスキルの一つだと考えています。
Q3.主査としてチームを率いる立場ですが、最近の放射線技術科のメンバーを見ていて感じることはありますか?
業務内容については、実は私自身も付いていくのが精一杯なほどで、むしろ後輩たちの高い吸収力や対応力に日々助けられています。
放射線技術科はモダリティ(撮影装置の部門)が多岐にわたり、特に近年は医療技術の発展によって撮影装置や画像処理技術が急激に進化しています。
一つひとつの部門の専門性が増しているのが現状です。
Q4.専門性が高まる中、マルチに勤務配置される科員を支えるために組織として取り組んだことは?

現在の現場では、幅広い知識を持つ「ジェネラリスト」であり、かつ各部門を極める「スペシャリスト」としてのスキルが同時に求められます。
そのため、科員全員がどのポジションでも確実に業務をこなしていけるよう、各部門でのマニュアル整備を徹底的に強化しました。
また、細かなインシデントであっても積極的に挙げていくことで情報を共有し、現場に潜む様々な危険因子をあらかじめ排除するようにしています。
Q5.主査として関わった業務改善の中で、特にチームが一丸となって成果を出せたと感じるエピソードはありますか?
昨年から取り組んでいる「タスクシフト(業務の移管・共同化)」業務は、科員全員が同じ目標を持って取り組めた素晴らしい内容だったと思います。
静脈穿刺(注射技術)の習得に励んだ練習期間では、みんなが自ら進んで互いに腕を出し合い、技術習得のために汗を流しました。
今年度に入って、少しずつではありますが、実際に医師や看護師のタスクを請け負うことができています。
Q6.タスクシフトの進展以上に、林さんにとって大きかった「収穫」とは何でしょうか?
タスクシフトが進んだことはもちろん良かったのですが、それ以上に「目標のベクトルが揃うと、チームは一気に前進できる」ということを、私自身が身をもって経験できたことが大きな収穫でした。
この先の新しい課題に対しても、この科員一丸となった体制で取り組めたらと考えています。
Q7.当院の放射線技術科における勤務体制や、技師のスキル向上への取り組みについて教えてください。
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数年前までは担当モダリティ(装置)が固定化されていましたが、現在は夜間当直にも柔軟に対応できるよう、科員全員がCT、MRI、TV(IVR含む)など幅広い装置を操作できるジェネラリストとしての育成を進めています。
一方で、核医学や治療といった非常に専門性の高い分野では、スペシャリスト志向の技師が深く関わっています。
また、個々のスキルアップを目的とした月1回の全員持ち回りでの勉強会や、各種専門・認定技師の資格取得を通じた技術向上にも取り組んでいます。
Q8.最近、全国的にも注目されている「スタット(STAT)報告」への取り組みと、そのメリットは何ですか?
スタット報告とは、脳出血や血管破裂、急性肺塞栓など、今すぐ命に関わる緊急性の高い画像所見を技師が発見した際、患者さんを帰さずに主治医へ即座に報告する仕組みです。
当院でもここ数年で体制を確立しました。
従来の「読影補助」では画像全体を見る必要があり医師の負担が大きかったのですが、スタット報告は緊急症例に的を絞るため、迅速なアクションが可能です。
撮影から主治医が確認するまでのタイムラグをなくし、特に夜間当直帯や他科の医師が検査をオーダーした際の見落としを防ぐなど、患者さんの安全の最大化と治療の早期開始に大きく貢献しています。
Q9.技師のキャリアアップや、当院ならではの働く環境の魅力についてどう考えていますか?
専門・認定技師の資格は維持や更新に費用が伴うため、科として学会費の補助など少しずつ支援を始めており、今後はさらにサポート体制を整えていくことが課題です。
当院の最大の強みは、「救急から治療まで幅広い経験を総合的に積める環境」が新人でも関わることができる点です。
さらに、業務量に応じて互いに時間休を調整し合うなど、科全体で有給休暇を平等のバランスでしっかり消化しようという意識が根付いています。
離職率が非常に低いことも、この「ジェネラルに学べる環境」と「良好なワークライフバランス」が両立している証拠だと感じています。
Q10. 多忙な主査業務をこなす傍ら、院外でボランティア団体(Make-A-Wish)の活動を始められたきっかけを教えてください。

私は「Make-A-Wish」という、難病の子どもたちの夢を叶えるお手伝いをするボランティア団体で活動をしています。
実は私自身が幼少期に小児がんを経験しているのですが、その当時にこの団体に私の夢を叶えてもらったんです。
実際にアメリカまでメジャーリーグを観戦しに行ったのですが、あの時の感動は今でも忘れません。
この感動を、もっとたくさんの子どもたちにも経験してほしいと思い活動を始めました。
世界では知らない人の方が少ないくらい有名な団体ですが、日本での知名度はまだまだです。
もっと知ってほしいと思っていますので、ぜひ皆さん、周りに広めてください(笑)!

東京オリンピックで聖火ランナーを務めた林さん
Q11. 先日のテレビ番組への出演には、どのような想いを込められていたのでしょうか?

私自身ががんサバイバー(経験者)であるので、私がこうして社会で活動し続ける姿を見せることで、今病気と闘っている方に勇気や活力を与えられたらと思っています。
また、動画を見てくださった方々にとって、健康でいられることのありがたさや、「自分の幸せが何か」を改めて考えるきっかけ作りになっていれば嬉しく思います。
ちなみに「放射線技師のどこが素晴らしいか」という仕事自体の普及活動については、ドラマ『ラジエーションハウス』主演俳優の窪田正孝さんにすべて任せています(笑)。
Q12. 仕事、ボランティア、発信活動、すべてに共通する林さんの「仕事や人生における軸」とは?

私の人生軸は、とにかく「楽しむ」ことです。
プライベートであれば、自分自身の行動次第でいくらでも「楽しい」を手に入れることができますよね。
しかし、職場となるとそうはいきません。
様々な制限や責任がある中で、楽しみながら仕事を進めることは至難の業かと思います。
ただ、楽しくなければ仕事を充実したものだと捉えることはできないと思うんです。
一日の約3分の1を過ごすことになるこの職場を、より楽しい空間にすることがこれからの目標です。
Beyond the White Coat
― 白衣の向こう側 ―
ここからは、医療や仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくるスタッフの人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。
好きな食べもの、おすすめしたいお店を教えてください。

ラーメンが大好きです!
新しくできた店舗は気になって仕方がありません。
子どもが2人いるので家族行動だとなかなか色んなお店には行きにくく、どうしてもチェーン店になりがちですが、そんな我が家の危機を救ってくれたのが『一蘭』さんです。
チェーン店ですがとても美味しいですし、アプリで子どもはラーメンが無料で提供(※)されるので、お得で本当にお勧めです。
自分の味を子どもに合わせることなく、好みにアレンジして満足の一杯をいただいています。
※店舗等にご確認ください。
趣味やリフレッシュ方法を教えてください。

オフの日は「楽しむ」をモットーに生きておりますので、色んなことに興味があります。
旅行、ゴルフ、草野球、スノーボード、キャンプ、スポーツ観戦、海、山、川、キャラ弁づくり、テレビ欄を網羅、お酒、麻雀、競馬……挙げ出したらキリがありません(笑)。
ですが、一番はやっぱり子どもたちと遊ぶことです。
私のこれらの趣味に、いつも子どもたちを付き合わせています。
「いかに人生を楽しむか」を子どもたちに背中で伝えられるかどうかが親としての役目だと思っていますし、どの娯楽にも及ばない、私の一番の趣味ですね。

林さん手作りのキャラ弁

家族での競馬観戦
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