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部門脳神経疾患センター

更新日:

より安全に満足いただける脳神経疾患センターを目指して

脳卒中を発症した場合、つまり突然に半身麻痺や言語障害などの症状をきたした場合には、発症後すぐに救急車で専門病院に搬送してもらって専門的な治療を開始する必要があります。早期リハビリテーション、再発予防も非常に重要です。当センターは堺市における地域完結型脳卒中総合診療を基本理念として、多職種で構成されたチーム医療を実践し、市民に安心して医療を受けていただける体制があり、日々改善しております。

対応疾患

脳神経疾患センターでは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈解離、脳静脈血栓症、一過性脳虚血などに対応しています。
このほか、脳卒中の原因となる未破裂脳動脈瘤や内頚動脈狭窄などについても診療しています。

脳卒中全般 脳卒中とは、”脳”に”卒”然に”中”(あた)る病気の総称で、医学的には脳血管障害のことを指します。大きく分けて脳血管がつまる虚血性脳卒中(脳梗塞など)と、脳血管が破れて出血する脳出血(脳内出血やくも膜下出血など)があります。脳卒中はその原因となる病気や部位により様々な症状が生じます。一般的に脳の症状は左右一方に生じ、病変のある側と症状のある側は反対(左脳梗塞では右麻痺)になります。頭痛や手足のしびれ、ろれつが回らない、見えにくいなど軽い症状から、嘔気を伴う激しい頭痛や歩行障害を伴う半身麻痺、失語(言葉が出ない)や意識障害などの重度の障害まで様々です。半身不随や寝たきりなど重度の後遺障害を遺す可能性を少しでも減らすために、早期に専門的な診断やそれに基づく治療や再発予防、リハビリテーションが必要です。
脳梗塞 心臓の不整脈(心房細動など)や頭頸部、脳動脈の動脈硬化が原因で、頸部や脳の血管が詰まっておこります。脳梗塞は詰まる血管の部位により、前述のような様々な症状が生じます。軽い症状は点滴や内服ですぐに改善し後遺症なく回復することも多いですが、徐々に進行し、半身不随や寝たきりなど重度の後遺障害を遺すこともまれではない怖い病気ですので、早期に専門的な診断やそれに基づく治療や再発予防、リハビリテーションが必要です。
脳内出血 多くは高血圧などでもろくなった血管が破れて生じます。頻発部位は、基底核や脳幹と言われる脳の中心に近いところ(被殻出血・視床出血・橋出血など)で、強い麻痺や意識障害を伴うことも多いです。 一方で、高齢者などでは、脳の血管に蓄積した異常蛋白(アミロイド)が原因となり、出血を来すことが有り、こちらは脳の表面に近いところ(皮質下出血)によく発症します。このほか、脳血管奇形や動静脈シャントが原因の出血も稀にあります。 多くの出血は自然に吸収されるため、再出血予防のための降圧治療や、リハビリテーションを中心とした、内科的治療を選択します。回復には時間がかかることが多く、病状が安定すればリハビリテーション専門の病院へ転院していただくことになります。
くも膜下出血(破裂脳動脈瘤) くも膜下出血(SAH:Subarachnoid hemorrhage)は、脳の表面(くも膜という膜の下)にある血管が破れて出血する病気で、致死率が高く、救命できても後遺症を残す可能性の高い、非常に難しい脳卒中です。一般的にくも膜下出血においては、1/3の方は早期に死亡し、1/3の方は後遺症を遺し、残りの1/3の方が社会復帰できると言われています。くも膜下出血の8割以上は脳動脈瘤が破れて起こります。発症早期であれば、積極的に治療をすることで再破裂を予防し、社会復帰率が高まります。突然起こるこれまでにない頭痛を感じた際は、すぐに病院に受診してください。 くも膜下出血の予後が悪い原因として、その合併症があげられます。すでに述べた再破裂の他に、脳血管攣縮と水頭症があげられます。発症から通常3~14日においては血管攣縮期といって、脳血管が収縮し脳梗塞が起きやすくなります。残念ながら確立した治療法はなく、血管を広げる点滴や脳梗塞の予防薬を使用し管理します。また、出血が脳脊髄液の循環を妨げると水頭症になります。頭にたまった余計な水が脳を圧迫し、歩行障害や排尿障害、認知機能障害などを来します。急性期はドレナージといって体外に逃し、多くは改善しますが、その後必要であれば、髄液を頭蓋外に逃がす手術(VPシャントなど)を行います。
一過性脳虚血 脳梗塞に至らなくても、一時的に脳の血管が詰まったことで生じるのが一過性脳虚血発作です。最近の報告では、こうした一過性脳虚血が、脳梗塞に至る例が多く、脳梗塞に準じた積極的な治療・診断により、脳梗塞への移行を防ぐことが可能と言われています。
未破裂脳動脈瘤 くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤が破れる前に脳ドックなどで指摘されたものが、未破裂脳動脈瘤です。大きいものや形がいびつで破裂しやすいものもあるので、その場合はあらかじめ破裂予防の治療を行うことで、くも膜下出血を回避することができます。 くも膜下出血に対する再破裂の予防は、近年、可能であれば血管内治療が外科手術より有効(Lancet2002;360: 1267-74, J Neurosurg 2012; 16:135-44)とされており、また未破裂脳動脈瘤も新しい機器の登場で一部を除き大部分は血管内治療での治療が可能です。

特色・強み

当院では、脳神経疾患センターを中心に、専門的な知識や特別な機器・技術を要する多職種の専門スタッフによる、入院から退院、自宅復帰までの包括的な医療を提供できるような体制を整えています。脳卒中だけではなく、脳神経内科・脳神経外科が協力して神経変性疾患や腫瘍にも丁寧に対応いたします。それぞれの患者さんに合わせて、より安全に満足いただける医療を提供できるよう心掛けています。疾患や病態によっては、保存的に経過観察だけで問題ないものや、外科的な治療が適している場合もあります。患者さんの抱える病気や問題に対して、適切な治療を選択できるように、十分な情報提供を行い、患者さんと一緒に治療方針を考えていきます。

当院は多施設共同で行う『脳卒中データバンク事業』参加施設です。詳しくはこちらをご覧ください。

主な手術・検査・設備等

血栓溶解療法(t-PA静注療法)、血栓回収療法

脳梗塞は、脳出血とは違い、詰まった血管を発症早期に再開通させることで、寝たきりや片麻痺などの重大な後遺症を回避できる可能性があります。血栓を溶かす血栓溶解療法(t-PA静注療法)や血栓を取り除く治療(血栓回収療法)は早ければ早いほど有効(Lancet 2016;387: 1723-3、JAMA 2016;316:1279-1288)です。顔面のゆがみ(Face)、手に力が入らない(Arm)、言葉が出ない(Speech)症状があるときは、すぐに(Timeless)病院へ受診してください。(FASTとおぼえてください)

当院は1次脳卒中センターに認定されており、24時間365日、血栓回収術を行う事が可能です。

内科治療

脳梗塞の内科的治療は、tPA治療(血栓溶解療法)や血栓回収術の適応がない場合に薬物療法を中心に治療を行います。第一には、いわゆる「脳塞栓」で、心房細動などの不整脈が原因で心臓内に作られた血栓が脳血管に飛んで閉塞した場合です。新たな血栓が出来ないように抗凝固療法を行います。治療の開始は、点滴(ヘパリン)で開始し、経口薬に変更します。第二には、動脈硬化などが原因で脳血管が狭くなり起きる「脳梗塞」です。多くの人は、糖尿病、高脂血症や高血圧などの既往があります。血小板凝集の亢進が見られるため、抗血小板療法を行います。急性期には点滴で治療を行い、時期を見てアスピリンなどの経口抗血小板薬に切り替えます。また、「脳塞栓」でも「脳梗塞」でも閉塞した血管の範囲が広く、意識障害や運動麻痺などの症状が強い場合には、浮腫を抑える薬剤や脳保護剤など点滴を行います。

外科治療(脳内出血)

大きな出血では脳ヘルニアにより命の危険が有り、この場合には、積極的な外科治療(開頭血腫除去、内視鏡的血腫除去)が有効な場合もあります。また小脳出血などで脳脊髄液の循環が妨げられた状態(水頭症)では、脳室ドレナージが有効なことがあります。

外科治療(くも膜下出血)

くも膜下出血の多くは脳動脈瘤の破裂によっておこります。破裂後早期に動脈瘤から再出血すれば一般に重症化するため、急性期の治療として適切な再出血対策を早急に行う必要があります。再出血予防の方法として、開頭手術(脳動脈瘤クリッピング術)、血管内手術(脳動脈瘤コイル塞栓術)があります。どちらの治療法が優れているかは、脳動脈瘤の部位、大きさ、形状などで判断されます。当院ではどちらの治療も可能であり、病態にあった治療を行っています。

早期離床・早期リハビリテーション

脳卒中では発症早期にリハビリテーションの計画を立て、病状に応じて可及的早期に理学療法士・作業療法士によるリハビリテーション開始し、早期離床を目指しております。栄養摂取に関しても、経口摂取が可能と考えられる患者さんには、すぐに言語聴覚士による嚥下機能評価を実施し、安全性を確認後、早期経口栄養摂取を目指しております。

脳卒中予防

入院患者さんのうち日常生活の自己管理が可能と思われる方には、看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など多職種による日常生活指導を行っています。家庭・社会復帰された後も継続的に自己管理の手助けとなる様『脳卒中自己管理ノート』を配布し、使用していただいております。毎日の血圧測定値や内服状況を記載しており、かかりつけ医を受診する時には担当される先生に提示する様説明しておりますので、診療にお役立てください。

実績

2021年 2022年
脳卒中関連疾患全体患者数 319 384
疾患名
脳梗塞 217 243
脳内出血 61 69
くも膜下出血 16 24
治療方法
rt-PA静注療法単独 14 14
脳血管閉塞血栓回収療法 25 26
脳動脈瘤に対する直達手術 6 12
脳動脈瘤に対するコイル塞栓術 12 22
頚動脈血栓内膜剥離術 4 13
頚動脈ステント留置術 11 10
開頭血腫除去術 11 15
バイパス手術 8 4
その他
脳卒中リハビリテーション新規患者 273 366

脳卒中相談窓口

当院では、「脳卒中相談窓口」を設置し、看護師または医療ソーシャルワーカーが脳卒中に関する様々なご相談を受け付けております。お気軽にご相談ください。

  • 脳卒中の治療、再発予防について
  • 転院や今後の生活、介護について
  • 経済的な不安 など
相談方法 面談(予約制)
実施日時 月~金曜日の9:00~16:30(年末年始、祝日を除く)
相談時間 20分程度
相談料 無料
対応者 看護師、医療ソーシャルワーカーなど
問い合わせ先 堺市立総合医療センター 脳卒中相談窓口
TEL:072-272-1199(代表)

脳卒中自己管理ノート

当院では、冊子『脳卒中自己管理ノート』を使用して、脳卒中再発予防に取り組んでおります。ご希望の方はダウンロードしてご使用下さい。

地域の医療関係者の方へ

2022年4月よりSCU(脳卒中ケアユニット) 6床運用開始しました。また、2022年10月に日本脳卒中学会よりPSCコア(地域の中心的脳卒中センター)の認定を受けました。 専門的入院加療を要する患者さんをよりスムーズに受け入れできるように改善していきます。丁寧な診断・治療適応決定のため、脳神経内科・脳神経外科で毎日カンファレンスで討議しており、患者さんにとってより安全・有益な診療体制を構築しています。入院患者さんの中で日常生活の自己管理が可能と考えられる方には、看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など多職種による日常生活指導を行っています。家庭・社会復帰された後も継続的に自己管理の手助けとなる様、『脳卒中自己管理ノート』を配布し、使用していただいております。毎日の血圧測定値や内服状況を記載しており、かかりつけ受診時には担当される先生に提示する様説明しておりますので、診療にお役立て頂ければ幸甚です。
診察のご依頼をいただける場合、緊急性が無ければ、予約申込書と診療情報提供書を患者支援センター宛にFAXでご返送お願い致します。こちらから、予約日時を記載した予約票をFAXで返信致します。もし、発症から短時間の脳血管疾患を疑う際には、お電話でご依頼いただけば、ブレインコール担当医師により直接相談させていただきます。

地域の患者さんへ

脳卒中発症早期から理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリテーションを開始し、機能回復を目指します。看護師からは病気、日常生活について脳卒中を再発しないために必要な注意事項をお話していきます。服薬に関しては薬剤師が、食事に関しては管理栄養士がそれぞれ注意すべき点を説明いたします。退院後もご自身で健康的な生活習慣に留意していただき、健康寿命を延ばしていただけるようにサポートします。当院に受診希望される方でかかりつけ医のある方は、まずかかりつけ医と御相談の上、脳神経内科・脳神経外科へ御紹介いただければ、スムーズに受診できると思います。受診時には紹介状(診療情報提供書)とお薬手帳をお持ちいただく様お願いいたします。急に、手足の動きが悪くなったり・ろれつが回らない・顔がゆがむなど脳卒中を疑う症状が出現したときには、ためらわず、すぐに救急車を要請して、専門医療機関に搬送してもらいましょう。

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