がん登録について
(統計情報)
キャンサーボード
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わが国において、がんは死因の3分の1を占めており、国民にとって健康上の大きな脅威となっています。しかし、日本は他の先進国と比べて、がん情報の整備が遅れているのが現状です。
情報の多様化や相互連携の希薄化により、同様の機能を持った複数のがん情報が交錯し、類似分野で異なる基準が存在し、資源を有効かつ効率的に利用できているとは言い難い状況です。
がん対策を実施するためには、国・都道府県・医療機関の様々なレベルで関係機関および関係者が総合された医師のもとに活動を進める必要があります。そのための基本となる枠組みが国のがん対策プログラムです。がん対策を実施するためのデータベース作成には、正確ながんの実態把握が必須であり、その中心的な役割を果たすのが「がん登録」です。なお、がん登録データの取り扱いについては、個人情報保護法に則って適切に管理しています。皆さまのご理解とご協力をお願いします。
がん登録には、地域がん登録・院内がん登録・臓器がん登録の3種類があります。
当院は、国の地域がん診療連携拠点病院に指定されており、院内がん登録データを国立がん研究センターに、全国がん登録データを大阪国際がんセンターを通じて国に提出しています。
※がん登録のデータは初回治療のみの登録となるため、再発治療したがんの件数は含まれていません。
全体 | 男 | 女 | 上皮内 | 限局 | 所属リンパ節 | 隣接臓器浸潤 | 遠隔転移 | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
胃 | 168 | 115 | 53 | ‐ | 88 | 12 | 23 | 30 | 15 |
大腸 | 303 | 169 | 134 | 53 | 105 | 20 | 54 | 50 | 21 |
肝臓 | 57 | 40 | 17 | ‐ | 34 | 0 | 5 | 10 | 8 |
肺 | 246 | 167 | 79 | 2 | 99 | 14 | 20 | 95 | 16 |
乳房 | 211 | 0 | 211 | 17 | 133 | 23 | 5 | 12 | 21 |
口腔・咽頭 | 44 | 31 | 13 | 5 | 16 | 6 | 9 | 0 | 8 |
食道 | 49 | 43 | 6 | 3 | 11 | 4 | 15 | 12 | 4 |
胆のう・胆管 | 20 | 0 | 20 | 0 | 1 | 9 | 0 | 9 | 1 |
膵臓 | 78 | 47 | 31 | 1 | 29 | 2 | 15 | 30 | 1 |
喉頭 | 10 | 10 | 0 | 2 | 7 | 0 | 0 | 0 | 1 |
皮膚 | 43 | 15 | 28 | 10 | 29 | 0 | 3 | 0 | 1 |
子宮頸部 | 40 | ‐ | 40 | 19 | 10 | 1 | 5 | 4 | 1 |
子宮体部 | 31 | ‐ | 31 | 0 | 21 | 1 | 4 | 3 | 2 |
卵巣 | 17 | ‐ | 17 | ‐ | 10 | 0 | 3 | 3 | 1 |
前立腺 | 173 | 173 | ‐ | ‐ | 116 | 0 | 25 | 20 | 12 |
膀胱 | 70 | 51 | 19 | 26 | 24 | 0 | 11 | 1 | 8 |
腎・尿路 (膀胱除く) |
72 | 49 | 23 | 3 | 40 | 0 | 6 | 17 | 6 |
脳・中枢神経 | 54 | 23 | 31 | 0 | 14 | ‐ | 8 | 3 | 7 |
甲状腺 | 38 | 8 | 30 | 0 | 22 | 5 | 4 | 2 | 5 |
悪性リンパ腫 | 96 | 44 | 52 | ‐ | 20 | 0 | 15 | 49 | 12 |
多発性骨髄腫 | 23 | 11 | 12 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ |
白血病 | 108 | 59 | 49 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ |
その他 | 60 | 56 | 4 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|---|
胃 | 199 | 214 | 177 | 161 | 168 |
大腸 | 234 | 271 | 274 | 235 | 303 |
肝 | 60 | 62 | 60 | 73 | 57 |
肺 | 137 | 174 | 204 | 221 | 246 |
乳房 | 128 | 167 | 182 | 190 | 211 |
0 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|---|
胃 | ‐ | 80 | 17 | 21 | 35 | 15 |
大腸 | 54 | 56 | 66 | 55 | 51 | 21 |
肝臓 | ‐ | 23 | 5 | 5 | 10 | 14 |
肺 | 2 | 95 | 15 | 32 | 85 | 17 |
乳房 | 17 | 90 | 64 | 7 | 11 | 17 |
「がん登録推進法」は議員立法で提出された法案で、超党派の議員連盟「国会がん患者と家族の会」(代表世話人・尾辻秀久元厚生労働相)によると、他の先進国に比べて、がんの情報整備が遅れていることが立法の背景にあります。がん登録は、がん対策に不可欠とされ、死亡率低下につながります。
日本のがん登録は、これまで健康増進法における地方自治体の努力義務で行われていました。今回のがん登録推進法では、他の先進国と同様に国の責任で、がんの罹患・診療・転帰などの情報を中央に集め、がんのデータベースを作成します。目的は、そのデータベースをもとに、治療方法の研究開発や効果的な予防策、行政のがん対策などに活かすことです。また、どの病院がどのがんに有効な治療をしているのかが見えてくるようになれば、患者さん自身がどこの医療機関を受診し、どのような治療を受けるのかという選択をする上でも役立ちます。
同法では、全ての病院に対して罹患情報を都道府県に届け出るよう義務づけ、がん診療に携わる診療所にも、手挙げ方式で情報の届け出を義務付けました。集まった情報は、都道府県で複数の病院が情報の照合や記載ミスなどのチェックをした後、国に提供し、さらに国が(国立がん研究センター)が各地の情報を「全国がん登録データベース」に集約します。また市町村や都道府県を通じて患者さんの生存確認情報や死亡情報も集めるため、全国がん登録データベースと照らし合わせることで、生存率のデータも解析できるようになります。同法は平成28年1月の施行を目指しています。
キャンサーボード(Cancer Board)は、手術、放射線療法及び化学療法に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の専門を異にする医師等によるがん患者の症状、状態及び治療方針等を意見交換・共有・検討・確認等するためのカンファレンスのことです。腫瘍ボード(Tumor Board)は同義語で、臓器ごとに開催される場合は肺がんボード、胃がんボード、大腸がんボード、乳がんボードなどと呼ばれます。
当院でも、呼吸器カンファレンス、胃・食道カンファレンス、大腸カンファレンス、肝胆膵カンファレンス、乳腺カンファレンスが週1回定期的に開催され、外科医、内科医、放射線治療医、放射線診断医、病理医、認定・専門看護師、薬剤師など多職種が参加しています。原発不明がんや多臓器にがんが及ぶ場合、診断や治療方針決定に、全体キャンサーボードを月1回開催し、各臓器の専門家に加え、形成外科、麻酔科、緩和ケアチームなどにも参加を呼びかけ、診療科横断的に症例を検討して最善の治療提供に努めています。
キャンサーボード名 | がんの種類 | メンバーの診療科名 | メンバーの職名・職種 (◎:リーダー) |
内容 | |
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1 | 上部消化管カンファレンス | 胃がん、食道がん | 外科、消化器内科、放射線科 | ◎胃食道外科担当部長、 消化器内科部長、外科医、消化器内科医、臨床腫瘍医、放射線診断科、病理医、看護師、薬剤師 |
新規治療患者の治療方針の決定および経過の報告 |
2 | 下部消化管カンファレンス | 大腸がん | 外科、消化器内科、放射線科 | ◎外科担当部長、 大腸外科担当部長、消化器内科部長、外科医、消化器内科医、放射線診断医、看護師、薬剤師 |
新規治療患者の治療方針の決定および経過の報告 |
3 | 乳がんカンファレンス | 乳がん | 外科、消化器内科、放射線科、放射線治療科 | ◎乳腺外科担当部長、 乳腺外科医、外科医、形成外科医、放射線診断医、放射線治療医、がん専門看護師、薬剤師、看護師、臨床腫瘍医、病理医、整形外科医、脳外科医 |
新規治療患者の治療方針の決定および経過の報告 |
4 | 下部消化管カンファレンス | 大腸がん | 外科、消化器内科、放射線科 | ◎外科担当部長、 大腸外科担当部長、消化器内科部長、外科医、消化器内科医、放射線診断医、看護師、薬剤師 |
新規治療患者の治療方針の決定および経過の報告 |