メッセージ・総論
整形外科疾患の中でも腰痛を訴えられて外来受診される方は非常に多く、様々な病気により腰痛が生じてきます。しかし、その殆どは、ただの「こしいた」というべきもので、日常生活の工夫や注意により予防でき、ひどくならないようにすることができます。そもそも腰痛がなぜ起こるのかというと、人類が猿から進化し、2本足で立って歩くようになり、腰の負担が増えたことが原因であるといわれています。一生の間に80%の人が腰痛を経験するともいわれ、35歳から55歳の働き盛りの人によくおこり、腰痛による社会的な損失はアメリカでは年7兆円に及ぶといわれています。
診断方法
ギックリ腰、坐骨神経痛などよく耳にする言葉ですが、ギックリ腰は、何かの拍子に急に動けなくなるほどの腰痛が襲うことを指し、坐骨神経痛は、おしりから下肢後面に沿った痛みの総称です。
また原因がはっきりわからない場合の腰痛を「腰痛症」といいます。腰にはこれらを起こしてくる様々な病気があります。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎辷り症、変形性腰椎症、腰椎分離症、骨粗鬆症などがその代表です。
腰が悪くなると、前かがみの姿勢で痛みが出ることが多く、寝起きや体動時に強い痛みが生じたり、腰だけでなく下肢に痛みが放散したりします。また、腰には神経が集まっており、腰が悪いのに足が痺れたり、足の力が入りづらくなったりすることもあります(神経症状)。また、歩いていると足が痺れて重くなってきたり痛みが出たりして、腰をかがめて休むとまた歩ける(間欠性跛行)といった症状の方もおられます。
的確な診断は、詳細な診察と画像診断などによって行われますが、脊椎脊椎病専門医での診察が望ましいと思います。
治療方法
急性の腰痛の場合は、2、3日の安静が最も大切です。適度の固さのベッドで膝の下に枕などをいれて仰向けで寝るのが最も良い安静の仕方ですが、楽であれば横向きでも構いません。それでも痛みが治まらなければ、病院で診察を受けられたほうがいいでしょう。
痛みが強い場合は鎮痛薬を飲んだり湿布を貼ったりすることも効果的です。慢性の腰痛にならないように、痛みが治まれば、腹筋を鍛えたり、ストレッチングをしたりと毎日の適切な運動が大切です。リハビリでその方法をきちんと教えてもらって毎日行うことが大切です。
日常生活の注意としては、いろいろな動作の際に腰を曲げすぎないような工夫や、荷物を持つときは左右のバランスを考えて持ったり、急に重いものを持ち上げたりしないようにすることも大切です。
無理な姿勢での作業や同じ姿勢での長時間の作業も腰に負担になります。そのようなときは休憩をとりながら行うことが大切です。女性の方ではハイヒールやきつい下着なども腰には良くないので避けたほうがよいでしょう。長時間の車の運転も腰には良くありません。運転手さんは事務職の方の約3倍腰痛が起こりやすいといわれています。
このような日常生活の注意を行ってもなかなか腰痛を完全には防げないことも事実です。注意が必要で病院で診察を受けられたほうがよい腰痛としては、安静にしても治まらず眠れないほどの痛みのものや、神経症状を伴ったもの、排尿排便の感覚がなくなってくるようなもの、発熱を伴ったものなどがあります。背骨の中では腰椎が癌の転移が最も多い部位でもあります。
また、内科の病気、泌尿器科の病気、婦人科の病気などでも腰痛が生じることもあります。長く続く腰痛や心配なときは診察を受けられることをお勧めします。
治療実績
当院では、表に示したように腰椎を始めとした脊椎外科手術を数多く行っております。
| 年度 | 頚椎 | 腰椎 | 胸腰椎 |
|---|---|---|---|
| 合計 | 242 | 515 | 63 |
| 2001 | 22 | 50 | 1 |
| 2002 | 21 | 47 | 3 |
| 2003 | 21 | 42 | 7 |
| 2004 | 29 | 45 | 5 |
| 2005 | 16 | 32 | 5 |
| 2006 | 29 | 73 | 4 |
| 2007 | 37 | 64 | 22 |
| 2008 | 44 | 72 | 8 |
| 2009 | 23 | 90 | 10 |
その他
腰の病気のほとんどは、ただの「こしいた」であることが多いのです。でも時に、整形外科的な治療を要するような「腰の病気」のこともあり、手術を要することもあります。
現在では、様々な腰の手術法が開発されています。その人その人にあった手術法が選択できる時代でもあります。腰痛で長く悩んだり仕事に支障が出ておられる方も多くおられます。そのような方は、一度診察を受けられることをお勧めします。






