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胆嚢炎と胆石

メッセージ・総論

胆石は日本人の約10%、1000万人を超える人が持っているといわれ、年齢を経るごとにその割合は増え、80歳を超えると約2割の方が胆石を持っていると推測されます。
胆石の患者さんすべてに手術適応があるわけではありません。
胆嚢は脂肪の消化を助ける胆汁を一時的に濃縮して貯めている役割があります。脂肪を含む食べ物が胃から十二指腸へ流れ込むと胆嚢が収縮し、胆汁と食べ物が混ざるしくみになっております。胆石があると胆嚢が収縮した際に胆嚢の出入り口の細くなっている胆嚢管に石がつまり腹痛が起こります。これが胆石発作です。

また、胆汁の流れが悪くなると、細菌が十二指腸から逆行性に胆嚢のなかに入り込み胆嚢炎を引き起こします。
これらの症状は多くの場合、絶食や抗生剤投与で軽快しますが、一度症状がでた場合は、約7割の患者さんで繰り返し胆石発作や胆嚢炎を起こします。このため症状がでた胆石症は胆嚢摘出術をおすすめします。
無症状の胆石が症状を引き起こす確率は年率約1% (10-20年で10-20%)といわれあまり高くなく、基本的には手術はおすすめしません。
しかし、無症状であっても、胆石が胆嚢内に充満している場合、結石が胆嚢の出入り口にはまり込んでいる場合、胆嚢壁が肥厚し癌が疑われる場合、超音波で胆嚢の状態がよく観察できない場合には手術をおすすめします。

診断方法

多くの患者さんは、食後に右の肋骨の下やみぞおちの痛みを訴えられ、病院を受診されます。
胆石の痛みは背部や右肩へ放散する痛みがときにあります。ただし腹痛や発熱の症状は胆石や胆嚢炎以外の病気でも起こり得ますので、採血および画像検査(腹部超音波検査やCTなど)を行い、まず胃十二指腸潰瘍や腸閉塞など他の疾患と鑑別します。血液検査で肝機能異常がみられ、画像検査で胆嚢が大きく腫れ、胆嚢の壁が厚くなっていると、胆嚢炎をさらに引き起こしていると判断します。
画像検査で胆石はあるが、発熱がなく血液検査で大きな異常がない場合は胆石発作の可能性が高いです。
採血やエコー、CT検査は受診後数時間で結果がわかります。
胆嚢を摘出するのが好ましいと判断した場合は、さらに詳しく、胆道全体を浮かび上がらせるMRCPという検査を行います。この検査では、胆嚢や胆嚢管と総胆管との位置関係や、胆石の大きさ、個数、場所が詳しくわかります。
また、胆嚢内の結石に加えて、総胆管の結石もとらえることができます。


MRCP画像

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治療方法

胆石症に急性胆嚢炎を合併した場合には、まずは入院のうえ絶食および抗生剤投与の治療を行います。
これら保存的治療で軽快した場合には一時退院となり、以後外来でMRCPなどのさらに詳しい検査をすすめながら手術の日取りを決めて行きます。腹痛が生じて3日以内の急性期では炎症による癒着がまだ軽微であるため、この時期に急いで手術を行う場合もあります。
また、保存的治療を行っていても炎症や全身状態が悪化する場合には、緊急手術の適応となります。
重い持病を持っている、全身状態が極端に悪いなどの理由で全身麻酔を行うのが危険と判断した場合には、緊急手術を断念し、胆嚢内にカテーテルを挿入し胆汁を体の外へ排出し炎症が治まるのを待ちます。
当院では、手術は腹腔鏡下胆嚢摘出術を基本としております。
しかし、約2%の患者さんは、術前に腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定して手術にのぞんだが、癒着や炎症がひどいために術中に開腹胆嚢摘出術に移行しています。
術後入院日数は、腹腔鏡下胆嚢摘出術の場合で約2-3日、開腹胆嚢摘出術の場合で約7-10日ほどです。
また、約0.2%と極めて少ない確率ですが、術中に胆道損傷や消化管穿孔を合併し翌日以降に再手術が必要な場合があります。
胆石症に加えて総胆管にも結石があった場合は、まず内視鏡下で総胆管結石を除去した後に、胆嚢摘出術を行います。

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治療実績

年間100例以上の腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。
また、癒着や炎症がひどい場合には、開腹胆嚢摘出術を行っています。

年度 2007 2008 2009 2010
合計 103 123 149 134
腹腔鏡下胆嚢摘出術 89 102 123 105
開腹胆嚢摘出術 14 21 26 29

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その他

腹腔鏡下胆嚢摘出術は、従来ではお腹に4カ所の穴をあけ、そこから腹腔鏡および鉗子を挿入して行っていましたが、最近ではお腹にあける穴の数を減らして、4カ所から2カ所にして行っています(2孔式)。
ただし、2孔式で手術を完遂できる患者さんは、炎症や癒着が軽微な場合に多いようです。

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