市立堺病院総合内科は2002年に発足しました。私たちは以下に掲げる理念に基づいて診療を行っています。
- 専門分化した医療の弊害を避け、総合的に患者さんを診療することを目指します。
- 病歴、身体診察を重視して、診断に至るまでの考え方を大切にします。検査をやみくもに行うのではなく、診断や治療に必要なものを十分に検討して行います。
- 他の専門科と良好なコミュニケーションを保ち、総合性と専門性のバランスがとれた診療を実践します。
- 感染症の診療と教育を重視しています。抗菌薬を適正に使用し、患者さんの命を脅かす耐性菌をできるかぎり出現させないよう努めています。
対応疾患
ほとんど全領域の内科疾患を対象として、外来、入院ともに診療します。専門性がきわめて高い疾患(たとえば循環器内科領域では心筋梗塞、血液内科領域では白血病など)については専門内科に委ねますが、ほとんどの疾患を病気の診断がついた後も、専門科と緊密なコミュニケーションをとりながら、総合内科が主科として診療します。
多くの患者さんは複数の病気をお持ちですので、いろいろな臓器の病気を総合的に診ることのできる総合内科の存在意義は大きいと考えています。
例として、ある一日の入院患者さんの疾患リストを示します(表1)。
| 集中治療室 | 糖尿病性ケトアシドーシス+肺炎(人工呼吸器管理)、肺炎(人工呼吸器管理) |
|---|---|
| 一般病棟 | 糖尿病、糖尿病、糖尿病性足壊疽、閉塞性黄疸、胆嚢癌、 総胆管結石、出血性十二指腸潰瘍、胃癌+骨転移、 結核性脊椎炎(疑)、肺炎、筋萎縮性側索硬化症、汎血球減少症 |
特色・強み
1.入院
- 20~25名の患者さんを担当しています。
- 2チーム体制で、それぞれのチームが屋根瓦式の体制を組んでいます。初期研修医が直接の担当医となり、その上に指導役としての後期研修医がおり、さらにその上にスタッフ医師がいて統括しています。
- 専門内科でよく遭遇する疾患も数多く受け持ちます(前述のとおりです)。
- まだ診断がついていない症例、複数疾患が同時に存在する症例、感染症、不明熱の症例なども担当します。
2. 外来
- 新患外来の一部を担っています(内科系各科が分担して担当しています)。
- ほか、再診外来、予約外来も行っています。
治療実績・成績
1年間(2010年(平成22年))の総合内科入院症例の内訳を示します。
| 感染症疾患 | 呼吸器関連40例 尿路関連75例 消化器関連42例 皮膚関連16例 中枢神経関連9例 結核4例 デング熱1例 ツツガムシ病1例 日本紅斑熱1例 細菌性赤痢1例 パラチフス1例 カポジ水痘様発疹症1例 その他31例 |
|---|---|
| 呼吸器疾患 | 慢性閉塞性肺疾患4例 気管支喘息4例 肺癌1例 |
| 消化器疾患 | 胃・十二指腸潰瘍5例 腸閉塞1例 虚血性腸炎2例 胃癌2例 急性膵炎1例 その他4例 |
| 循環器疾患 | 心不全2例 不整脈3例 失神7例 高血圧症1例 肺塞栓症3例 |
| 腎・代謝・内分泌疾患 | 慢性腎不全7例 糖尿病11例 原発性アルドステロン症1例 副腎不全2例 特発性副甲状腺機能低下症1例 |
| アレルギー・膠原病疾患 | アナフィラキシー13例 ANCA関連血管炎6例 リウマチ性多発筋痛症3例 全身性エリテマトーデス2例 ベーチェット病2例 Cogan症候群1例 Still病1例 RS3PE1例 チャーグストラウス症候群1例 サルコイドーシス1例 |
| 神経疾患 | めまい症10例 脳卒中5例 ウェルニッケ脳症1例 |
| 血液疾患 | 特発性血小板減少性紫斑病1例 シェーンライン・ヘノッホ紫斑病1例 骨髄異型性症候群2例 ビタミンB12欠乏性貧血症2例 |
| その他の疾患 | 熱中症10例 偽痛風6例 急性薬物中毒4例 縦隔気腫1例 Osler-Weber-Lendu病1例 その他分類不能47例 |
担当医師・スタッフ
![]() | 氏名 | 藤本 卓司(ふじもと たくし) |
|---|---|---|
| 職名 | 総合内科部長、京都大学医学部臨床教授 | |
| 大学(卒業年度) | 京都大学(昭和59年卒) | |
| 専門分野 | 総合内科、感染症、感染管理 | |
| 認定資格 | 麻酔科標榜医、感染管理医師 | |
| 学会 | 日本内科学会、日本感染症学会、日本環境感染学会、ほか | |
| モットー | 教えることは学ぶこと |
![]() | 氏名 | 平島 修(ひらしま おさむ) |
|---|---|---|
| 職名 | 医員 | |
| 大学(卒業年度) | 熊本大学(平成17年卒) | |
| 専門分野 | 総合内科 | |
| 認定資格 | 日本内科学会認定医 | |
| 学会 | 日本内科学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会 | |
| モットー | どんなときでもsmile smile smile |
| 氏名 | 田中 孝正(たなか たかまさ) | |
|---|---|---|
| 職名 | 医員 | |
| 大学(卒業年度) | 愛媛大学(平成17年卒) | |
| 専門分野 | 総合内科 | |
| 認定資格 | 日本内科学会認定医 | |
| 学会 | 日本内科学会、日本感染症学会、日本血液学会 | |
| モットー | 正しく生きる |
施設認定
- 日本内科学会認定教育施設
研究発表
| 2011.2.4 | 北川萌,井村慎志,龍岡久登,鈴木啓之,堀谷亮介,平島修,藤本卓司 京都総合内科カンファレンス 2月例会 「特発性副甲状腺機能低下症の1例」 (洛和会音羽病院) |
|---|---|
| 2011.4.1 | 松田尚子,堀谷亮介,平島修,藤本卓司 京都総合内科カンファレンス 4月例会 「細菌尿と化膿性関節炎を伴った黄色ブドウ球菌性心内膜炎の1例」 (洛和会音羽病院) |
| 2011.6.3 | 伊東直哉,平島修,藤本卓司 京都総合内科カンファレンス 6月例会 「細菌性赤痢とキノロン低感受性パラチフスAによる重複感染の1例」 (洛和会音羽病院) |
| 2011.6.11 | 井村慎志,鈴木啓之,平島 修,藤本卓司 弓指孝博*,青山幾子*(* 大阪府立公衆衛生研究所) 第194回日本内科学会近畿地方会 「大阪府内にて発生した日本紅斑熱の1例」 (奈良県立文化会館) |
| 2011.7.16 | 藤本卓司 第46回日本呼吸器学会中国・四国地方会方会/第18回呼吸器セミナー 「グラム染色からみた感染症診療」 (倉敷市芸文館) |
| 2011.8.5 | 押田裕喜,平島修,藤本卓司 京都総合内科カンファレンス 8月例会 「S状結腸間膜上に穿孔し左腹痛を呈したhidden appendicitisの1例」 (洛和会音羽病院) |
| 2011.9.10 | 伊東直哉,田中孝正,保井光仁,平島 修,藤本卓司 第195回日本内科学会近畿地方会 「細菌性赤痢とパラチフスAの重複感染をきたした輸入感染症の1例」 (大阪国際交流センター) |
| 2011.10.2 | 藤本卓司 平成23年度日本内科学会生涯教育講演会Bセッション 「身体診察を活かした感染症診療」 (福岡市民会館) |
| 2011.10.7 | 坪口裕子,堀谷亮介,平島修,藤本卓司 京都総合内科カンファレンス 10月例会 「月経過多を契機に診断された von Willebrand 病の1例」 (洛和会音羽病院) |
| 2011.11.26 | 鈴木啓之,平島修,藤本卓司 第54回日本感染症学会中日本地方会 「輸入感染症としてのツツガムシ病の1例」 (奈良県新公会堂) |
| 2011.12.2 | 堀谷亮介,伊東直哉,平島修,藤本卓司 京都総合内科カンファレンス 12月例会 「カプトリル負荷試験が陰性であった原発性アルドステロン症の1例」 (洛和会音羽病院) |
| 2011.12.17 | 堀谷亮介,坪口裕子,平島 修,藤本卓司 第196回日本内科学会近畿地方会 「発症2週間後2回目のMRIで診断できた化膿性脊椎炎・硬膜外膿瘍の1例」 (京都テルサ) |
| 2011 | 藤本卓司 今日の治療指針 P.1371-1378 「抗菌薬による感染症の外来治療」 (医学書院) |
|---|---|
| 2011 | 藤本卓司 治療薬マニュアル 2011 P.1249-1379 「抗菌薬」 (医学書院) |
| 2011 | 伊木れい佳,藤本卓司 JIM 21:87-89,2011 「What's your diagnosis ? No.98「ヒントは痛みの部位」」 (医学書院) |
| 2011 | 藤本卓司 感染症専門医テキスト第I部解説編 [編集]日本感染症学会 P.913-917 「A群レンサ球菌感染症」 (南江堂) |
| 2011 | 藤本卓司 感染症専門医テキスト第I部解説編 [編集]日本感染症学会 P.677-679 「Clostridium difficele 感染症(CDI)」 (南江堂) |
| 2011 | 藤本卓司 感染症専門医テキスト第II部ケーススタディ編 [編集]日本感染症学会 初級編 問題22 P.88-91 「突然の高熱、咽頭痛、頭痛、関節痛、筋痛を認めた32才男性」 (南江堂) |
| 2011 | 藤本卓司 Medical Technology 39:501,2011 「血液培養陰性心内膜炎」 (医歯薬出版) |
| 2011 | 松田尚子,平島修,藤本卓司 JIM 21:706-710,2011 「What's your diagnosis ? No.105「The Green Light, Stop!?」」 (医学書院) |
| 2011 | 藤本卓司 医学界新聞 第2944号 2011年9月12日発行 「書評『感染症ケースファイル ~ここまで活かせるグラム染色・血液培養』(谷口智宏著)」 (医学書院) |
| 2011 | 藤本卓司 麻酔・集中治療医のための抗菌薬使用と感染対策 P.163-170 「ICUでのグラム染色の活用」 (克誠堂出版) |
| 2011.5.20 | 藤本卓司 泰玄会病院講演会 「グラム染色の実地臨床での活かし方」 (泰玄会病院) |
|---|---|
| 2011.6.29 | 藤本卓司 第17回近畿IDカンファレンス 「グラム染色と培養検査の基礎と解釈~臨床に活かすために~」 (ブリーゼプラザ小ホール) |
| 2011.9.1 | 藤本卓司 第11回天理よろづ相談所病院感染症セミナー 「グラム染色の活かし方」 (ウェルカムハウスコトブキ) |
| 2011.9.7 | 藤本卓司 第10回東海感染対策セミナー 「重症感染症における抗菌薬の適正使用」 (名鉄ニューグランドホテル) |
| 2011.10.14 | 藤本卓司 第16回岡山呼吸器感染症研究会 「グラム染色から見た感染症診療」 (岡山コンベンションセンター) |
| 京都GIM(総合内科)カンファレンスでの 多施設共同カンファレンスでの発表 |
洛和会音羽病院、天理よろづ相談所病院などと合同で行う臨床カンファレンスです。 毎月音羽病院で開催され、隔月に症例を発表しています。 症例集が書籍として刊行されています:「診断力強化トレーニング」(医学書院) |
|---|
医学生・研修医のみなさんへ
- 本院総合内科は、研修医の臨床教育に力を入れています。診察手技(視診・触診・聴診・打診など)については、日々の定期回診での教育に加えて、患者さんの同意と協力を得た上で、教育のための回診をベッドサイドで行います。
- 専門内科と比較して、未診断の症例を受け持つ頻度が高いため、診断に至る過程や論理をより幅広く学ぶことができます。
- 感染症の診療と教育を重視しています。基本的な考え方とともに、グラム染色や抗酸菌染色などの迅速検査は医師自ら行うことができるように教育します。
- 6専門内科をまとめる第一診療部にはに多くの症例検討会、学習会があり、これらを企画・運営する中心を担っています。スタッフ医師を対象とした継続教育プログラムについても同様です。
- 後期研修医(3年目)を対象とした外来診療の研修を行なっています。
- 医学生の体験型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)を受け入れています。京都大学とは正式の契約を結んでいますが,他大学の医学生を対象としたオープンな枠も多く設けています。
- 国の内外から優れた臨床能力を持った講師を毎年招いています(表3)。
- 日本全国から総合内科を志す若手医師や医学生が数多く集い、研鑽する場として発展してゆくことを目指します。
| 1月 | 青木 眞先生 | (感染症コンサルタント) |
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| 5月 | Dr Branch | (総合内科:湘南鎌倉病院) |
| 9月 | 鈴木克洋先生 | (近畿中央胸部疾患センター) |
| 10月 | Dr Shah | (循環器内科:元ムンバイ大学) |
| 12月 | 青木 眞先生 | (感染症コンサルタント) |

病棟回診
月、水、金の午前、全員で入院患者さんの回診を行います。指導医が研修医と一緒にベッドサイドまで行くことが研修医教育の基本です。

ベッドサイド教育
内頚静脈波/圧(jugular venous pulse / pressure:JVP)は欠かせないルーチンの身体診察です。けっして名人芸ではなく、きちんと訓練すれば誰でも習得できます。

カンファレンス
カンファレンスは自由な雰囲気がモットー。すべての専門内科合同のカンファレンスや抄読会が週5回あります。

グラム染色
医師自らグラム染色と鏡検を行います。研修医必修のトレーニングです。

眼底鏡
わが国であまり教えられていない身体診察のひとつ。耳鏡とセットになった軽量の眼底鏡は比較的安く購入できます。

耳鏡
たとえば髄膜炎を疑ったら、鼓膜の観察は必須です。耳鏡を使いこなす訓練も初期研修には欠かせません。

身体診察
「耳は口ほどに物を言い..?」。耳たぶの溝(earlobe crease) は、冠動脈疾患の存在を示唆する所見です(=Frank徴候)。

細菌検査室にて
培養検査を提出した翌日には必ず細菌検査室に足を運びます。正式の結果が戻ってくるには数日かかりますが、実は培養開始の翌日には原因菌の貴重な情報が手に入るのです。

教育用顕微鏡による鏡検実習
研修医は指導医と一緒にグラム染色の鏡検実習を行います。実際のプレパラート(ガラス板の標本)を用いて、まず観察に適した良い視野を探す訓練から始めます。

院外講師の招聘
インドのムンバイ(ボンベイ)からDrシャー(循環器内科)御夫妻をお招きして。








